ワイルドライフディスカバリーセンター
レイクフォレスト市(公園レクリエーション課)
所長 ロブ カーマイケル
翻訳 ぶいとも
設備
当センターでは、展示していないボールパイソンには、Matrix Rack Systems を利用しています。このラックは基本的に、サーモスタットで温度をコントロールした暖房されている棚で、家庭用プラスチックケースをケージとして使っています。このセットアップで、ボールパイソンの飼育、繁殖に成功をおさめてきました。
当センターの主要目的は教育ですが、数種の繁殖にも取り組んでいます。成体のボールパイソンはセーターボックスサイズの箱(約61cmX41cm)に入れています。箱の周辺に(床から約5-8cmのところ)2列にわたって空気交換用の穴を空けています。
そしてワット調節のできるヒートテープをケージの後側に貼りつけ、Helixサーモスタットにつないでいます(32-34℃に設定)。床材には新聞紙を何重かに重ねて使い、それぞれのケージに水入れと隠れ場所を設置しています。ハンドリングは一週間2、3回までとし、一度につき10分以内としています。教育、展示用にはハンドリング過多や展示によるストレスをさけるため、個体を交替しながら行っています。展示していない大きなメス個体は約1mのNeodeshaケージにいれていますが、うまくいっています。
当センターのボールパイソンには冷凍/解凍マウスあるいはラットを食べさせています。給餌のスケジュールは季節によって変わり、蛇の食欲によっても変わってきます。通常は、幼体には5日おき、成体には7-10日おきに給餌しています。ブリーディング前のメス、また排卵後の母蛇にはそれに適した5日おきのスケジュールで餌を与えています。
ブリーディング「レシピ」
ボールパイソンのブリーディングにはとてもシンプルなアプローチをとっていますが、すばらしい成果をあげています。しかし、これはあくまでも私達にとって最適な方法であるということを御理解ください。他の施設では多少ブリーディングの方法やセットアップを変更したり調整したりして、それぞれの状況に適した環境を作り上げています。また、これも重要なことですが、私達は毎年メスを繁殖させておらず、蛇を最良の状態に保つために繁殖は一年おきとしています。ロブ カーマイケルは1970年代から飼育しているボールパイソンを3匹所有していますが、いまだに3匹ともすばらしいブリーディング個体です。私たちの使っているブリーディングの方法は、この方法の開発に大きく寄与したSeven Generations Reptilesのものに似たものです。
2月から11月初旬にかけて、24時間サイクルでヒートテープを32-34℃に設定します。これで低いところで25-27℃、高いところで30℃前後、そして極地的にもっとも高いところが32-34℃という温度勾配を作ります。
11月初旬から、ヒートテープを家庭用タイマーに接続して、電源が12時間ついて12時間消えるようにセットします。昼間の温度は同じになりますが、季節による変化から若干低めとなるかもしれません。(サーモスタットは同じ32-34℃にセット。しかし、夜間ヒートテープの電源が切れると、環境温度が約21-23℃に落ちます。この昼間と夜間の温度差が繁殖行動のための刺激になるようです。12月初旬には、オス一匹、メス一匹を一緒にします。繁殖行動は通常数分のうちにも始まりますが、私達は3-5日間そのまま一緒に置いておき、その後一週間離し、そして再び一緒にします。4-5回のペアリングの後、通常メスは妊娠します。この時期には給餌回数を減らします(このクーリング/ブリーディング時期にはボールパイソンは食べなくなることがよくあります)。私達は、ボールが餌を食べたい状態であることもありえるので、3週間に一度の割合で給餌します(その時には小さいサイズの餌を与えます。)また、時折ビタミン剤の補給も行いますが、補給過多にならないように注意します。
妊娠したメスは通常お腹を上にしてひっくり返ったポジションで暖をとって休みます。これはとてもよい兆候です!必ず産卵のための箱をいれて下さい。この箱はプラスチック製のネコのトイレ用容器に約8cmほどわずかに湿らせた水苔を入れた、シンプルなものでかまいません。通常は春に産卵が行われます。産卵後には、2つの選択肢があります。1)母蛇に自然に卵をかえさせる方法、2)卵を取り出し、インキュベーターに入れる方法。両方法ともうまくいきますし、私達も成功してきました。大多数の人々はインキュベーターに卵をいれます。必ず卵を母親から取り出したときとまったく同じ状態で置くようにしてください(ひっくり返したり、動かしたりしない)。卵がくっついた状態であることが多いのですが、切り離さないように!約8-10cmのわずかに湿らせたバーミキュライトか水苔のはいった大きめのプラスチック容器の中に卵を入れ、そして湿度を保ちつつも床材が湿りすぎることのないように、水のはいった容器もいれます。空気交換をしつつ、高い湿気を保つためにプラスチック容器に2、3の空気穴を明けて下さい。時々、卵が大きすぎるため、直接インキュベーターにわずかに湿らせたバーミキュライトを8-10cm敷き詰めて、その上に卵をいれる場合がありますが、これでもうまくいきます。** 毎週忘れずに床材を湿らせて下さい(でもやりすぎないように!)インキュベーターを31-32℃ にセットすると、50-60日くらいで卵から孵化するはずです。孵化したら、孵化した蛇を成体と同様なラックシステムの中にいれます。(靴箱サイズのケージがぴったりです。)ヒートテープの温度を成体よりわずかに低め(約30-31℃)に設定してください。孵化した蛇は3週間がたつまでは通常餌を食べはじめません。大多数の幼蛇は活ファジーをまず与えることから始めますが3-5回の給餌の後にはすぐに死んだ餌に変えていくことができます。
**この場合、発熱装置に近い卵が乾燥しすぎることのないように、湿らせたタオルで卵をカバーします。
ご質問など
Program Manager of Wildlife Education (野生教育プログラム長) の ロブ カーマイケル(米国847-615-4388, Carmichr@citylf.lfc.edu) まで英語で御連絡ください。日本語の場合は、当サイトの掲示板BALL PYTHON FORUMにお書き込みください。
The Wildlife Discovery Centerはイリノイ州内外の様々な種、絶滅の危機に瀕した種、エキゾチックな種なども扱っています。また、地元の全4種類の毒蛇や、数種のgila monster やdiamondbacked rattlerなど地元外に生息している毒蛇も飼育しています。爬虫類に加えて、red-tailed hawk, a great horned owlなどの猛禽類も飼育しています。
古い農場跡を再利用して、そこに当センターが移転する予定です。そこでは、展示やプログラムの規模を大いに広げることができます。この地は、 自然保存管理機構によって米国における黒土と背の高い草のはえたプレーリーのもっとも優れた例として指摘されており、すでに興味深い爬虫類関連のフィールド研究が行われてきています。当センターは寄付、スポンサーの方々やプログラム開催の際の謝礼によって成り立っています。ご寄付のお申し込みには、City of Lake Forest's Wildlife Fund 宛に小切手をお送り下されば、領収書をこちらから郵送させていただきます。また、毎月様々な興味深い情報がつまったニュースレターをお送りさせていただきます。
(日本からの送金の場合、通常国際郵便為替、直接銀行振込などの方法がありますが、どのような方法がよいかRobさんにまずメールでお問い合わせになられることをお勧めします。)